電子取引 の記録法が変わる!事務処理規程で本当に対応できるの?【第二回】

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第二回:事務処理規程の運用は本当に現実的?

税制改正に伴って電子帳簿保存法も改正が行われ、来年の1月から施行される予定です。第一回では「電子取引」に関する改正内容について詳しく解説しました。今回、第二回では電子取引の記録法改革に事務処理規程の作成・運用で対応するメリット・デメリットについて、国税庁から配布されている規程のサンプルをもとに考えていきます。

・・・前回までのおさらい・・・

電子メールやインターネット経由で授受した電子取引情報は、紙面での保存が廃止され、電子データでの保存のみが認められることになりました。そうして保存される取引記録の信頼性を担保する正式な方法を、国税庁は⒜タイムスタンプの使用、⒝記録の改ざんを防止するシステム導入、⒞事務処理規程の制定・運用 と定めており、全ての会社はこのいずれかを行う必要があります。導入にかかるコストや時間を考えると、⒞事務処理規程制定の制定・運用が最も現実的な対策であると言われています。

この事務処理規程ですが、国税庁からサンプルが配布されています。配布ページはコチラ

基本的には、配布されているサンプルを自社に合わせて添削し、制定して運用していけば、この改正には対応することができます。コストや時間、手間のどれをとってもシステム等の導入より少なく済ますことができます。それでは具体的な運用方法を見ていきましょう。

取引先ごと・取引種ごと・月ごと等にフォルダを分け、該当する場所に電子取引データを格納していきます。それぞれのフォルダには、あとから見てもわかりやすいよう名前をつけます。一見すると単純で、簡単な作業に思えます。会社が小規模であったり、決まった取引先としか取引をしない場合であれば、問題なく運用していけるはずです。しかし、これがもっと大規模の会社であったらどうでしょうか。

毎日、あるいは毎時間発生する電子取引のデータを、大量のフォルダの中から該当箇所を探して格納しなければなりません。目当てのフォルダにたどり着くのにも時間や手間を割いてしまいますし、重要な電子取引データを間違った場所に入れてしまったり、そのまま紛失してしまったりするリスクも必然的に高まります。

また、国税庁によれば、索引簿に電子取引データの概要や格納先など記録していく必要があります。索引簿も 資料配布ページ にてサンプルが配布されています。

索引簿サンプル(国税庁/参考資料より)

このように、一つ一つの取引記録を索引簿に記載していきます。こちらのサンプルもExcelで作成されていますが、索引簿への記載は手での打ち込み作業になるため、記入漏れや内容の混同などが起こり得ます。取引が多ければ多いほど、また運用期間が長くなればなるほどフォルダは膨大になってしまいます。こういった問題から、今すぐには法改正に対応できても、後々の運用が困難になってしまうのがこの事務処理規程運用の最大の難点であると言えます。

ではどうすれば?

前回ではシステムの導入は導入に時間とコストがかかり、また今からでは1月の施行に間に合わない可能性が高い、という点をデメリットとして挙げました。しかし、今から検討し導入を決めれば、フォルダが膨大になり管理・運用が困難になる前には間に合わせることができるでしょう。

またもう一つの対策としてタイムスタンプの導入がありますが、タイムスタンプの導入・使用には電子データの管理システムにさらに上乗せする形になるため、システム+α のコストがかかることが想定されます。

事務処理規程の制定・運用で対策しつつ、改ざんを防止できるシステムの導入を検討するのが現在の最善策と言えます。次回、第三回では、システムの形態についてどんなものがお勧めなのか、どんなメリット・デメリットがあるのかについて解説していきます!

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