会計基準の国際化で乖離が広がる税務基準と会計基準的確な管理に応える償却資産管理パッケージ【第三回】

1 固定資産管理の問題点

  固定資産管理は償却資産管理として、管理対象の資産品目ごとに償却計算並びに、減損会計、リース資産

会計、資産除去債務計算が行われます。金融機関では「動・不動産管理」として管理されています。

  管理の対象は、取得資産単位であって、複数資産を一括で登録ができます。その点、一個ごとの管理が必要

となる施設管理とは異なります。

  これらの償却管理に於ける問題点は次の通りです。

  • 資産の取得、移動、分割、除却などのデータ入力ミスが生じやすく、また建物の改修などによる追加登録、資産分割などの処理は複雑になって、適正な処理が難しい場合が生じます。ミスが発生すると、そのリカバリー処理には手間がかかる場合があります。
  • 償却計算はパッケージ化されているとはいえ、手順とチェックが必要で、新任の人は慣れる必要があります。
  • 償却計算の結果は決算データに直結しますので、ミスが生じた場合リカバリーは決算修正まで必要となります。しっかりした運用が求められます。
  • 償却計算はパッケージ化されていることが多く、知識が乏しくても運用ができる状況ですが、反面担当者が償却計算の知識を習得することが難しくなっています。

2 税務基準と会計基準がある:償却計算のポイント

  資産管理の対象は「固定資産税」の対象となる償却資産です。償却資産管理には「税務基準」と

「会計基準」の2つの基準があり別々に計算されます。

  税務基準は主に固定資産税のための計算で、毎年1月1日付け所有資産に対して地方税の申告を行います。

また国税としては、所得税申告書の添付資料の作成を行います。会計基準は企業の財務会計のための償却計算です。

財務諸表作成に必要な償却計算を行い、決算データとして報告されます。

税務基準と会計基準では。減価償却の計算方法、残存価額、耐用年数、のいずれも異なります。

減価償却の方法は、会計上は企業会計原則により、税務上は税法により定められています。

償却方法は、会計上では定額法、定率法、級数法、生産高比例法があり、この中から選択することになります。

税務上では、定額法、定率法。生産高比例法があり、固定資産の種類により選択範囲が定められています。

法定償却方法は、建物ならびに建物付属設備、構築物について、取得年月日により別個に定められています。

  耐用年数は、会計上は「経済的使用可能予測期間をもって自主的に決定できる」とされています。税法上は、

固定資産の種類ごとに省令分類として細かく定められています。実務上、会計上の耐用年数も税法上の耐用

年数に合わせて処理することが一般的になっています。

  減価償却費の計算方法は、税法上で定められています。旧定額法、旧定率法と(改訂)定額法、定率法があります。旧定額法、旧定率法は、

平成19年3月31日以前に取得した場合の所得税に適用され、法人税については、減価償却資産の償却限度額の計算に適用されます。

  平成19年4月1日以後に取得した資産については改正された定額法、定率法が適用され、所得税の減価償却並びに法人税の償却限度額が計算されます。

3 国際会計基準へのコンバージェンスで税務基準と会計基準の乖離が

      広がるーー税効果会計の導入

会計基準には、日本会計基準、米国会計基準、国際会計基準(IFRS)、J-IFRS、の4種類があり、企業の特性

に合わせて選択されます。日本では一般的には日本会計基準が用いられます。

日本会計基準は、2007年の企業会計基準委員会(ASBJ)と国際会計基準審議会(IASB)との東京合意に基づ

き、会計基準をIFRS(国際会計基準)に収斂(コンバージェンス)させる方針で各種の制度改正が行われて

きました。そして減損会計、リース資産管理、資産除去債務などの仕組みが整備されました。その結果、

従来は日本基準においては税務会計と企業会計はほぼ同じで、乖離は少なかったのが、会計制度が国際会計

基準に近づくにつれて、現在では乖離は大きくなって管理が複雑になっております。

  【税効果会計対応】

  会計基準と税務基準の差異は計上される利益の差異として現れます。この調整の目的で税効果会計が行われ

ます。税効果会計はどの企業でも導入できるものではありませんが、「上場企業」「金融商品取引法の適用を

受ける非上場企業」「会計監査人を設置している会社(非上場を含む)」等の会社が導入することができます。

  税効果会計は会社の利益と税務の課税所得の違いから発生する税金の差異を調整するものです。差異には「

  永久差異」と「一時差異」があって、調整が認められるのはのは一時差異だけです。「減価償却の超過」「貸

倒引当金繰入の超過」「繰越欠損金の発生」「資産評価益の否認」「積立金方式による圧縮記帳」などが対象に

なります。

資産管理においては、このような税効果会計に対応して「減価償却の超過額」の管理を行います。  

4 eRIMS資産・施設管理システム

eRIMS資産管理システムは、最新の税制改正に対応して、専門知識のない方でも容易に対応できる、

  使い易い償却資産管理システムをパッケージとして提供しております。

特徴は、資産・施設管理システムとして施設と資産の管理を統合化している点と、データ登録を同期してい

ますので、現物と台帳の乖離をなくしている点にあります。

  出力する帳票は以下の通りです。

1 償却資産管理

  • 法人税帳票(期報)

      「動不動産 店別科目別合計期報」「動不動産 科目別合計期報」「動不動産 取得明細表」

    「動不動産 移管明細表」「動不動産 処分明細表」

  • 法人税帳票(減価償却台帳関係)

  「動産及び不動産 台帳(店別)」「動産及び不動産 台帳(科目別)」「圧縮額内訳表」

      「少額減価償却の明細」「省令分類別資産残高一覧表」「省令分類別資産残高明細表」

  • 法人税帳票(有価証券報告書関係) 

       「設備の状況1・2」「動不動産集計表」「動不動産の内訳」「付属明細表」「再評価バランス」

  • 法人税帳票(法人税報告書関係)

      「別表十六(一) 定額法による償却額の計算に関する明細書」

      「別表十六(二) 定率法による償却額の計算に関する明細書」

      「別表十六(六) 繰延資産の償却額の計算に関する明細書」

      「別表十六(八) 一括償却資産の損金算入に関する明細書」

  • 法人税帳票(資産除去債務関係)

    「資産除去債務一覧表」「資産除去債務明細書」

  • 地方税帳票   

  「償却資産申告書」「種類別明細書(全資産)」「種類別明細書(増額資産)」「種類別明細書(減少資産)」

  • 5年間投資シミュレーション 

  「減価償却シミュレーション」

  • 償却終了到来予定表    

  「償却終了到来予定表」

2 減損会計

  • 減損の兆候と判定 

  「減損の兆候の把握」「減損損失の認識と判定」

  • 減損判定 

  「グループ別減損明細表」

  • その他   

  「キャッシュフロー」

3 リース契約管理  

    「リース料支払一覧明細表」「リース料支払一覧合計表」「リース契約明細表」

    「リース取引開示情報一覧表」「リース会計注記合計表」「別表十六(四)明細表」

    「別表十六(四)合計表」「リース料支払スケジュール表」

問合せ先   株式会社テイルウインドシステム eRIMS事業部 営業 安達、山本

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