兆候の把握から始まる減損会計システム【第二回】
1 減損会計制度の始まり
日本会計基準は、2007年の企業会計基準委員会(ASBJ)と国際会計基準審議会(IASB)との東京合意 に基づき、会計基準をIFRS(国際会計基準)に収斂(コンバージェンス)させる方針で各種の制度改正が行われてきました。
そして減損会計、リース資産管理、資産除去債務などの仕組みが整備されました。
減損会計は、2006年3月期より強制適用が始まりました。
2 減損会計とは(概要)
減損とは、「収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった状態」です。
減損処理とは、そのような場合に一定条件の下で回収の可能性を反映させるように帳簿価額を減額する会計処理を言います。
即ち減損会計とは、企業における事業の最小単位ごとに、投資額に対して収益(キャッシュフロー)が十分上がっているか(投資額が回収できるか)を評価して、回収が見込めない場合は、資産評価を減額して回収可能な状況にする会計処理です。
減損会計の処理の流れは次の通りです。
- 固定資産のグルーピング
対象資産を最小事業単位ごとにグルーピングします減損損失の測定を行う単位になります。
- 減損の兆候の把握
事業単位ごとに、損益(あるいはキャッシュフロー)が継続してマイナスになっているか、あるいはマイナスになる見込みか、により兆候を把握します。
- 減損の認識の判定
事業単位ごとに、得られる割引前将来キャッシュフローの総額が、帳簿価額を下回る場合、減損損失を認識します。
- 減損損失の測定
減損損失が認識された資産グループについて、帳簿価額を回収可能価額まで減額して、帳簿価額との差額を当期損失として減損損失を認識します。
回収可能価額とは、資産グループの正味売却価額と使用価値のいずれか高い方の金額です。
使用価値とは、資産グループの継続的使用と使用後の処分によって生ずると見込まれる将来キャッシュフローの現在価値です。
- 各対象資産の簿価の減額および会計処理の表示
減損処理が確定した後、会計処理を行うとともに、減損額を対象資産の帳簿価額に振り分けます。
振り分けた減損額に基づいて、各資産の帳簿価額を控除します。
配分の方法は、代表的には「構成資産の簿価に基づく比例配分」ならびに「構成資産の時価を考慮して配分する」方法があります。
事情に合わせて決定されます。
会計処理後には、減損を損益計算書に計上します。
3 減損会計の運用
1 兆候把握の時期
減損会計は、会計ルールでは固定資産に減損すべき兆候が見られた際に都度「減損の要否」を検討して、必要であれば減損損失を認識することになっています。
したがって決算期の都度、兆候の把握が望まれます。
実際には、第3四半期から年度末に向けて減損処理を行う企業が多いようです。
2 減価償却の継続
多くの場合、減損処理後も減損対象の資産を使用して引き続き事業を継続しますが、減損処理を行った資産については減損損失を控除した帳簿価額に基づいて減価償却を継続します。
3 減損の戻入はできない
減損処理後に状況が好転して戻入をしたい場合でも、一度処理した減損損失は戻入することはできません。
4 eRIMS減損会計システム
弊社eRIMS減損会計は、減損会計処理に必要とされる以下の機能をフル装備して、資産管理システム に組み込み提供しております。
(1)対象資産のグルーピング処理を行います。
(2)減損の兆候と判定のため「減損の兆候の把握」「減損損失の認識と判定」を出力します。
(3)減損判定のため「グループ別減損明細表」を出力します。
(4)その他、「キャッシュフロー」を出力します。
問合せ先 株式会社テイルウインドシステム eRIMS事業部 営業 安達、山本
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